東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 東京大学工学部都市工学科
都市資源管理 / 地域循環共生システム研究室


2012年度 卒業研究題目

Graduation Thesis 2012


今年度の卒業研究は,以下の3分野に関する題目を提示する :

1  都市資源の物質
 フロー・ストック分析
1名 a  MFSAによる回収・再生可能な都市資源の発生量の推計
b  MFSAによる災害廃棄物の発生量の予測と検証
2  サプライチェーンの
 環境負荷分析
1名 a  「食」のサプライチェーンの環境負荷分析のツール化
b  IOAによるサプライチェーンの環境負荷の経路分析
3  リサイクルシステム
 の評価・分析
1名 a  質的データ分析による容器包装リサイクルの論点の可視化
b  容器包装リサイクルによる環境負荷削減効果のLCA評価

他にも,学生からの自主的なテーマ提案の相談にも応ずる。柔軟かつ論理的な思考と幅広い視野を持ちながら,自ら強い問題意識をもって,設定した課題を深く掘り下げることを求める学生を歓迎する。

2012年度 卒業研究題目 (PDF版)

説明会 : 4月11日(水) 12:30-13:00 @4年生演習室



  1. 都市資源の物質フロー・ストック分析 [a,b どちらか1名] :
土木構造物や建築物などのインフラを対象として,物質フロー・ストック分析(MFSA)を用いて,都市資源の蓄積量を定量化する。
昨年度の卒業研究では,東京港臨海地域を対象として,地区別・インフラ別・資源別に蓄積量を推計した []。

a  MFSAによる回収・再生可能な都市資源の発生量の推計
本題目では,昨年度の成果を,家具や家電製品などの耐久消費財も含めた回収・再生可能な都市資源の発生量の推計へ発展させる。
特に,建築物や耐久消費財の寿命を考慮して,経年的な再生可能資源の発生量を推計する。
b  MFSAによる災害廃棄物の発生量の予測と検証
本題目では,昨年度の成果を,災害時の廃棄物発生量の予測へ発展させる。
地上・地下への蓄積量や,建築物の構造別の推計のフレームワークを構築し,東日本大震災による災害廃棄物の発生量を用いて検証を行う。

[関連研究]



  1. サプライチェーンの環境負荷分析 [a,b どちらか1名] :
様々な製品・サービスについて,消費者の手に届くまでのサプライチェーンのどういった段階,どういった分野で,どのくらいの環境負荷を出しているか分析することで,都市活動の隠れた環境負荷を明らかにする。

a  「食」のサプライチェーンの環境負荷分析のツール化
本題目では,食材生産から輸送・容器包装・買物・廃棄・リサイクルまでの環境負荷を,IOAと積上げ法の「ハイブリッドLCA」によって定量的に評価し,消費者向けのツールとしてExcelのVBAなどを用いて実装する。
b  IOAによるサプライチェーンの環境負荷の経路分析
昨年度の卒業研究では,産業連関分析(IOA)を用いてサプライチェーンの電力消費の経路分析を行った [図1][図2]。
本題目では,昨年度の成果を環境負荷分析と結合し,電力消費に伴う環境負荷分析や環境負荷全般の経路分析へ発展させる。

[関連研究 a]
  • 「食生活に関する消費行動の代替による温室効果ガス排出量算定モデルの構築」,2011年度 修士論文 (環境システム研究室)

[関連研究 b]



  1. リサイクルシステムの評価・分析 [a,b どちらか1名] :
容器包装リサイクル法の改正を1年後に控え,社会的にどのようなリサイクルシステムが望ましいか,真に環境負荷の削減に寄与するリサイクルとは何か,科学的かつ客観的に分析することが求められている。

a  質的データ分析による容器包装リサイクルの論点の可視化
昨年度の卒業研究では,質的データ分析によって,エネルギー・環境問題に関する論点を可視化した []。
本題目では,法改正に向けた審議会などを分析対象として,容器包装リサイクルに関する論点を可視化する。
b  容器包装リサイクルによる環境負荷削減効果のLCA評価
本題目では,市場でのリサイクル原料と新規原料の代替や,消費者行動の変化といった点に着目して,プラスチック製容器包装のリサイクルによる環境負荷削減効果を,ライフサイクル評価(LCA)によって評価する。

[関連研究 a]

[関連研究 b]



卒業研究について,より詳しく知りたい人は,メールで連絡を :

yuichi [at] env.t.u-tokyo.ac.jp
nakatani [at] env.t.u-tokyo.ac.jp